「前向きな諦め」は、あなたの生き抜く力を豊かにします。 

突然に起こる災難は、私たちをアタフタさせて、何が起こっているのか、すぐには受け入れることができないものです。「なんで私に!」「どこに向かって怒りをぶつけたらいいかもわからない!」「嘆いても失ったものは帰らない!」という言葉が口からこぼれるだけですね。夢であってほしいと思っても、現実は変わらない。

そして、「もっとああしておけばよかった」、「このせいで私の人生がダメになった」と後悔して、頭の中でぐるぐると同じことを繰り返して、身動きが取れないこともありますね。

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。

不確実な社会になって、世界経済の破綻、自然災害、IT化、AI導入など、思ってもみない形で私たちは巻き込まれています。そして災難は、私たちの思考を「八方塞がりだ」、「もうダメだ」とネガティブな気持ちにします。

しかし、嘆いていても何も変わらないのです。災難に立ち向かうには、生き抜くためには、「心の筋力」を鍛えておくことが必要です

顔を上げて「今ある苦しさを乗り越える」、あるいは「苦しさと共に生きる」術を自ら学んで、心の筋力が鍛えていくしかないのです。その術とは、「適応力」+「前向きな諦め」を身につけることが、あなたに力を与えます。 

適応力は、予期せぬ事態に対して、ストレスを最小限に抑えながら、変幻自在に環境に対応し、今までと同じまたはそれ以上のパフォーマンスを発揮する能力です。

適応能力を身につけるには、「前向きな諦め」を正しく解釈することがポイントだと思います。

前向きな諦めとは、身体の力身を取って、予期せぬ出来事に対処することです。そうすることで、全てをコントロールしようとするのではなく、「ままならない現実」をありのままに受け入れることで、心の平穏が生みだせるのです。 

「前向きな諦め」とは、諦めるという響きから、「投げやり」や「絶望」と思うかもしれませんが、そうではありません。日本語の「諦める」は、仏教の「真理を明らかにする」という言葉に由来します。現状をはっきり把握し、道理を悟ることで、執着を捨てて納得するという前向きなプロセスを指しています。  

「できないこと」を潔く手放すことが「前向きな諦め」

自分がコントロールできること、できないことの境界線を正しく引き、「できないこと」を潔く手放すことが「前向きな諦め」です。物事の事情をはっきりさせる(明らめる)ことで、迷いが消えて納得する、という意味になります。

「前向きな諦め」の捉え方の例を挙げて考えましょう。

1. 人間関係:他人が自分をどう思うか、相手が期待通りに動いてくれるかは、自分にはコントロールできないものです。

でも、あなたの感情は: 「なぜ分かってくれないのか」と悩み続け、相手を変えようと画策し、疲弊しがちになる。

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前向きな諦めの例: 「自分なりに誠意は尽くした。あとの判断は相手の問題であり、自分にはどうしようもない」と割り切る。

結果: 相手への執着が消え、自分がどう振る舞うべきかに集中できる。

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2. 過去の失敗や選択すでに起きてしまった事象は、どれほど悔やんでも戻せませんね。

でも、あなたの感情は: 「あの時○○していれば」という後悔を繰り返し、自分を責め続ける。

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前向きな諦めの例: 「あの時の自分にはあれが精一杯だった。過去は変えられない」と、事実をそのまま受け止める。

結果: 過去に費やしていたエネルギーを、「これからどうするか」という未来の行動に転換できる。

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3. 持って生まれた資質や限界才能、容姿、年齢、あるいは病気など、努力だけではどうにもならない制約があるものです。

でも、あなたの感情は: 「もっと背が高ければ」「あんな才能があれば」と、自分にないものと他人を比較して劣等感に沈む。

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前向きな諦めの例: 「自分はこの体、この能力で生きていくのだ」と、自分の持ち札を確定させる。

結果: 無理な背伸びをやめることで、自分の持っているリソース(資源)を最大限に活かす方法が見つかる。

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4. 仕事やキャリアの結果全力を尽くしても、景気やタイミング、他人の評価によって報われないこともあると分かっています。

でも、あなたの感情は: 望まない結果に対して「不当だ」「運が悪い」と怒り続け、現状を拒絶する。

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前向きな諦めの例: 「準備と努力は自分の責任だが、結果は時の運である」と、結果を天に任せる。

結果: 失敗を「人格の否定」ではなく「ひとつのデータ」として捉え、次の挑戦へ軽やかに移れる。

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「前向きな諦め」を受け入れるには、

今までの自分の価値観や積み上げてきた経験は、通常の仕事をする上では有効です。しかし、災難のような思いもよらない出来事に対処するには、今までのやり方を一旦ゼロベースにします。その上で、現実をありのままに受け入れるということが必要です。この思考ができるように、日々のものの捉え方のクセを少しずつ変えていくトレーニングが有効になります。

●具体的には、以下のような方法があります。

1.「自分の力で変えられること」と「変えられないこと」を明確に分ける練習します。

  • 紙に書き出す: 悩み事があるとき、紙の左側に「自分の努力で変えられること」、右側に「自分にはどうしようもないこと(たとえば他人の心、過去、運など)」を書き出します。
  • 右側を「捨てる」: 右側に書いたことは、どれだけ考えても無駄だと視覚的に理解し、「これは私の仕事ではない」と自分に言い聞かせて、執着を解きます。

2.日常の小さな「思い通りにいかないこと」に対して、柔軟な思考ができるように練習します。

  • 例: 渋滞にはまった、天気が悪くて予定が潰れた、楽しみにしていた店が閉まっていた。など
  • やり方: その瞬間、一瞬だけ「参ったな」と思ってもいいので、すぐに「まあ、こればかりは仕方ないな。じゃあ、雨だから○○にしよう」と、即座に切り替える練習をします。これが心のレジリエンス(精神的回復力)を鍛えます。

3.「得たもの」をリフレーミングで言語化する。諦めるとは「失う」ことではなく、実際には「新たな時間で得たもの」にフォーカスします。

  • 問いかけ: 「これを諦めることで、私は何の時間を手に入れただろう?」「何のストレスから解放されただろう?」と自分に問いかけます。
  • 具体例: 出世を諦めることで、家族との時間や趣味に没頭する時間(精神的な余裕)が得られ人生が豊かになります。

4. セルフコンパッション:自分への慈しみを大切にします。

  • 第三者として自分自身への「根性がない、ダメな人間」というレッテルをやめて、友人に声をかけるように自分自身を「もう十分頑張ったよ、無理しなくていいよ」と慈しむ。
  • 自分が困難な状況で苦しんでいたら、その苦しい状況を書き出し、それに対して第三者として自分自身に向けて支援する言葉を書き込む。友人を励ますように自分自身を励ますことができます。
  • 諦めることを「敗北」ではなく、前向きに「終了」と定義し直します。

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「諦める」という言葉は、自分が負け犬になったような気持ちにさせられますね。それは「諦めてはいけない」「諦めるのは気持ちが弱い人間だ」という考えが私たちの中にあるのかもしれません。

一方で、自己成長という言葉がありますが、諦めずに頑張り続けることで成長した自分に出遭えると思っていますね。

確かに、「諦める」のか「諦めずに頑張る」のか。人生の選択を迫られる言葉のようです。それを決めるのは自分自身ですが、自分の人生を楽しくいきいきと生きるには、「頑張る」と「前向きに諦める」とのバランス思考の中で「人生の選択」をしていくことにありそうです。

豊かに生き抜くには、まず「前向きな諦め」の手法を身につけていくと良さそうですね。