孤独でありながら信頼感ある世界に生きる。
ある相談者とキャリアカウンセリングをしたときのことでした。これからのキャリアについての相談だったのですが、そこには緊張と孤独が隠れているように見えました。相談者は、キャリアの現状を語りながら、将来についての不安についても話し始めました。それは、いまある孤独から自分はどのように脱却を図ればよいのかということでした。
孤独、孤立という人が増えているようです。孤独は自分で選択できるという自由がある反面、相談できる人がいないのです。人生を共に生きる人がほしいという願望は、私たち誰もが持っています。信頼できる誰かと繋がりたいと・・・。
どのような信頼感を人は求めているのかに興味を持ちました。
孤独と信頼感は「鶏と卵」の関係にあるとも言われています。
孤独感の強い人が抱える「他者への不信感」は、性格的な欠陥ではなく、「過去に傷ついた経験」や「心の防衛システム」が生み出した、生存のための戦略であるという側面が強いのです。
「信頼感の理解」という点では、孤独を感じている人は「信頼=裏切られる/分かり合えないというリスクを負うこと」という定義を強く抱いているように見えます。
こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。
「信頼感」という概念は、心理学的には個人の内面で育まれる「自分と世界に対する安心感」であり、一方で社会的には「他者との関係性をどう構築するか」という戦略的な側面があります。不確実な社会では、信頼感という概念は危うさを見せているように感じています。
別の視点では、「他者を信頼できるか」という感覚は、個人の幸福感や、社会全体の「ソーシャル・キャピタル」の豊かさと強く関連していると考えられています。
孤独感という視点では
現在の日本の調査データを俯瞰すると、孤独感は大きく分けて「若年層の慢性的孤独」と「中高年の構造的孤立」という二つが存在しています。
世界的に注目されているのが、若年層の孤独感の高さです。内閣府の調査などでも、20代〜30代は「しばしば・常に孤独を感じる」と回答する割合が他世代よりも高く、かつ女性がやや高い傾向にあります。
人生の過渡期で、 キャリア形成やアイデンティティの確立など、人生の大きな変化が集中する時期であり、社会的な「役割」がまだ安定していないことによる不安が孤独感と直結しています。先に述べた相談者もこの世代の男性だったのです。
一方の50代以上、特に男性においては、「構造的な孤立」のリスクが高まる傾向があります。調査では、50代以降の男性で「悩み事を相談できる友人がいない」割合が高まることが示されています。これは「自分は大丈夫」という防衛本能や、「他人に頼ることは弱さである」という価値観が未だに影響しているようです。
そして、仕事のストレスから未来に不安を感じているミドル層にも職場で孤独感が広がっているのです。
さて、孤独感の強さは、「今の自分の状況をどう解釈しているか、つまり認知の枠組み」に大きく左右されます。
孤独感を「自分は価値がない人間」という自己否定の証明として捉えるのか、それとも「今の自分に成長のために必要な空白の時間」として捉えるかによって、その孤独の質は劇的に変わると思います。
孤独からの脱却を考えてみる

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孤独感を味わうことは、内省する機会になり自身を探求する時間になります。今の時代は、おひとり様でいることに昔ほど違和感がなくなってきたと思います。また、「他人といることで自分の自由な時間を邪魔されたくない」、「他人とかかわることで気を使うから疲れてしまう」と考える人も増えているように思います。
ある意味で、孤独でいることと信頼感ある仲間を持つことは、相反するようにも見えます。その上で信頼感ある人とつながるには、どのような視点で考えていけばよいか掘り下げることにしましょう。
<あなたが考える信頼感とは
信頼感は、人との関係のなかで感じるわけですが、その日常の出来事の中で、私たちは何を捉えて、相手が信頼できそうと感じるのでしょう。
たとえばこんな人?という視点では:嘘をつかない、裏切らない、媚びない、約束を守る、ありがとうと言える、ご免なさいが言える、眼を見て話す、話を親身に聴く、などが思い浮かびます。
あなたは、どんな人だったら信頼感をもちますか?
あなたは、どんな人から信頼感を得たいのですか?
人との信頼感をどのように育んでいきたいですか?
信頼感は、リハーサルを重ねていく中から生まれます。
たとえば、仕事上の信頼感
職場や取引先なら日頃の仕事での様子や話す機会が持てたら、問いかけをしてその時の関わりかたで、感じ取ってきたのではないですか。相手の素の部分が見える瞬間が必ずあるものです。何を大事にしている人かが見えると、どんな人か少しわかります。自分の価値観と似ている人とは、信頼感を持てることが多いです。仕事の中でうまく関係が築けた人は、信頼感を持てる人になっているでしょう。
たとえば、人生と共に信頼感を紡ぐ大事な人々
私の場合は、私自身が生きる意味を見失っていたころ、ありのままの私を否定しなかった人たちが信頼できる人になりました。
互いに人生を生きてきて、良いところも悪いところも出し合い、そして良いところも悪いところも受け入れられた人たちです。
人生を通して、「ありのままでいても、そばにいてくれた(他)人」が、私の信頼できる人です。 逆を言えば、「ありのままの私を受け入れた(他)人」なのです。
信頼感を育てるなら、行動無くして生まれません。
たとえば、共感と無条件の受容
人間関係において、相手を信頼する心のメカニズムには「共感」が欠かせません。カウンセリングなどで重要視される「相手をありのままに受け入れる(無条件の肯定的配慮)」経験を積むことで、人は自分も他者も信頼できるようになっていきます。
自分の話を聴いてくれる、その話がどんな話でも丸ごと受け入れて聴いてくれる人に、人は心を開いていくものです。同時に自分が話していることを他者が受け入れてくれたと自認できたとき、話している自分への信頼が生まれるのだと思います。
たとえば、自分への信頼感と自己防衛機制との関係
孤立していると、「他人に頼ることはできない」「相手を信じるなんてできない」と思ってしまうわけです。人に弱みを見せたくないのなら、自分の行動を首尾一貫することで信頼感をえるという考えもありうるのかもしれません。この方法は、人に頼らず「自律的に生きる」と決める―――ある意味の開き直り(ありのままの自分を生きる)―――ことになります。それによって、あなたは自分に自信を持てるようになります。そして他者と対話ができるようになると思います。
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「孤独でありながら、信頼感ある世界で生きる」というテーマで話しましたが、私は孤独感は大事な感覚だと思っています。孤独であることを忘れてはいけないのです。だからこそ、「ヒトとの関係はどうありたいか?」を考えてみてほしいと提案しています。
最後に、私が考えた信頼できる人は、「ありのままでいても、そばにいてくれる他人」と定義しました。変な表現に思えるかもしれませんが、人というよりも他者という感覚です。自分と他者という意識をもっています。どんな人とも完全に分かり合えることはないものです。だからこそ、他者とは、「受容と共感」でつながるのです。
大事なのは、あなたは人生をどう生きて、どのような信頼感を誰と築きたいのかということです。

