相手の苦しみが分かるのに、空回りしてしまうのは何故?

目の前の人が、悩んでいることや苦しんでいることは分かるのに、いざ声をかけたり、励ましたりすると、なぜか空回りしてしまうことってありませんか。

その時あなたは、「なんだか、ズレているみたい」「相手の気持ちを分かったつもりになっていたのは、私だけだったのかな・・・?」と気持ちが揺らいだことでしょう。                                     

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。

お互いに「相手を傷つけないように、あるいは期待を裏切らないように」気づかっているつもりが、かえって沈黙や空回りを招いてしまうことがありますね。

このように「関わり方がうまくいかない」という背後には、いくつかの心理的なメカニズムが隠れています。

★空回りするのは、あなたの感情がそうさせるから

悩む人を仮にAさんと命名して解説しましょう。

あなたがAさんから悩みを聴いたとしましょう。

Aさんの苦しみに直面すると、あなたは無意識に「早くその痛みから救い出してあげたい/解放してあげたい」と思ってしまいます。

そこで、Aさんの話から適切と思えるアドバイスをするでしょうし、落ち込んでいるなら「大丈夫?あなたならきっと乗り越えられる」などと励ましたりします。あなたが過去に経験した同じような悩みだったら、なおさらアドバイスに力が入ってしまいますね。

もちろん善意でアドバイスした訳ですが、Aさんにとっては「自分が何をどうしたら良いか考えられない」という状況なのです。ですから、悩みについてアドバイスされても、いまのAさんにとっては何の役にも立たない状態です。 

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このように、“早く”悩みを解決してあげよう、勇気づけようとすると、かえって空回りします。

Aさんにとって、あなたからの正解やアドバイスは、「そんなことも分からないの、あなたはダメだな」「自分で決められないダメなやつだ」などと、受け取ってしまう可能性が高いからです。

そして、悩んでいるAさんにとって、自分の思いを言葉にできないもどかしさが、沈黙させるのです。それは、この悩みを「自分で解決できない情けなさ」や、「どれも大事で優先順位が付けられない歯がゆさ」も感じているから。

Aさんが、求めているものは、ただ話を受け止めてもらうこと、自分の気持ちに共感してもらうことなのだと思います。

それが出来て初めて、自分の考えや思いを自分で整理したい。自分はいったいどうしたいのかを自分で導きだしたいと願っているのです。

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★でも、親子、友だち同士、上司と部下といった関係が濃くなるほど、共感vs解決のスイッチが利かなくなります。

最も関係性の濃い親子を例に解説します。

親が子どもを大事だと思うほど、この感情のコントロールがうまく動かなくなりますね。特に、ネガティブスパイラルに入りやすいです。親と子どもの関係性で陥りやすい、心理的乖離*について解説します。これを理解することで、友だち同士、上司と部下についても「共感vs解決」というアプローチの課題が分かると思います。

★親だから子どもの気持ちは分かっているという誤解――関係性があると相手の気持ちは分かると思いがち

親と子どもの間に生じる「心理的乖離*」は、突然の出来事として起きるのではなく、日々のコミュニケーションや期待の積み重ねの中で、徐々にそして構造的に形成されていきます。(*お互いの心が遠く離れ、何を考えているのか分からなくなったり、分かり合えなくなったりする現象)

親子の心理的乖離の多くは悪意ではなく、「お互いを大切に想う気持ち」のすれ違いから始まります。

親は、子どもの苦しみや失敗を先回りして避けさせたい、安心できる道へ導きたいという思いから、親のアドバイスや意見が多くなります。さらに、苦しむ前に手を打ってしまい親の考えに誘導していきがちです。

子どもは、 親のアプローチが繰り返されるうち、「自分の感じていることや選択は否定される」「そのままの自分では受け入れてもらえない」と感じ始めます。その結果、自信のない、自己肯定感の低い子供になってしまいます。

​結果として、子どもは余計な衝突や失望を避けるために「波風を立てない返事(はい、わかりました)」をするようになり、親の前で「本当の感情や思考の扉を閉ざす」ようになります。これが、心の中に最初の見えない壁が作られる瞬間です。

つい親は、「自分の子どものことは、分かっている」とか、「自分が何とかしてあげなくては」と想いがちですが、一人の自律した人として育成することが、親の大きな仕事です。

親だからと言っても、完璧な親になる必要はなく、子どもと共に、子どもは自立した成人として、親は人間力のある成人へと成長していくわけですから。

親子だけでなく、友だち同士、上司と部下といった関係性が濃い場合は、上記ような心理的なメカニズムを理解していくと良いでしょう。

相手の気持ちや思いを聴いていくことで悩みの本質が分かってきます。だから共感が最初なのです。

悩みを共に味わう(受容する)。「共感の大切さ」

私も昔は“悩みからの解放”、つまり“問題の解決をしたくなるタイプ”だったので、空回りして気持ちが焦ってしまうことはわかります。私も経験の中で、仕事の場合だと問題の解決でよかったケースもたくさんありましたが、気持ちの理解を含む悩みには、「共感」と「解決」の境界線を見つけることが重要だと気づきました。

まず、「悩みを共に味わう」とは何かを、学ぶことから始まります。

★共感は、「相手が自分の捉えている世界をそのまま語ってもらい、それを受容すること」から始まります。

1.Aさんが語る世界を聴いてAさんのストーリーを映像化する――そしてその世界に入りこむ。

どんなことが起こって、何があったのか、具体的に語ってもらいます。何が起こってどんな気持ちになったのかを問いかけて、語ってもらうのです。その世界を一緒に味わっていくことで、何に傷つき、何に悩み、どのような気持ちでいるかが徐々に理解できるはずです。

Aさんの世界を理解して、相手の感情や思いを共に味わい(受容する)、その思いや気持ちをあなたの態度/言葉にしていくのが共感です。それによって、Aさんの心理的安全性が生まれます。

2.Aさんの状況を俯瞰して眺める―――客観的に物事を捉える。

Aさんと状況と気持ちが共有できたら、客観的にAさんも悩みを捉えられるようになっています。ここからは、Aさんは、同伴者(あなた)と共に、問題を「解決」していくことができます

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★問題を抱えていても状況を冷静に捉えられるようになれば、ヒトは自分で解決の道を見出すことができます。

親子であっても、ヒトは違っていることのほうが多いものです。まず、違う感情があり、違う思考があることを認めることから始めましょう。

この意識が芽生えると、空回りは減っていくことになります。ひとり一人の価値観の違いは違うアプローチを生みだします。

大事なことは;

話を最後まで聴く。

話を遮らない。

人の悩みを解決するための答えは、その人の中にある。